文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

一つの正解がある論理の国語と無限の可能性がある感性の国語

2021年9月5日更新

 

 

吉田裕子さんの『正しい日本語の使い方』という本をご紹介します。本書の初刊発行は2013年5月、発行は枻出版社。雑誌「Discover Japan」の特別編集という形で、単行本として刊行されました。

枻出版社は、2021年2月に民事再生手続申立をしましたが、販売業務の委託や事業譲渡をしています。本書に関しても、2021年9月現在、購入が可能です。

書籍としての体裁はムック本ですが、図書分類のためのCコードはC0077です。この数字ですと、読者対象が一般、発行形態が単行本、内容分類が「家事」となります。定価は紙の本で825円(税込)、Kindle価格は458円(税込)です。

本書は、品格ある言葉とマナーをテーマにしています。実生活だけでなく、ビジネスの場でも役に立つ書籍です。空いた時間などに、気軽に目を通すことができる構成です。

私は、だいぶ前に書店で目が留まり、本書を購入しました。本書は、10万部超のベストセラーになったようです。書いていることに説得力がありますし、著者の経歴も華々しいので、売れているのが納得できます。

2019年7月に新装版が発売されているので、単行本を購入するなら新装版を購入したほうがよいでしょう。大幅に改訂し、アップデートしたとのことです。

Kindle版に関しては、旧版をもとにしているようです。2014年4月の発売ですし、表紙も新装版となっていません。

この本の著者である吉田裕子さんは、国語講師をなさっています。大学受験塾やカルチャースクールでの活動のほか、企業での敬語・文章力研修も担当されるとのこと。

経歴が華々しい方で、さらにテレビやラジオ、雑誌などでも活躍されています。著作も多い方です。

吉田裕子さんは東大文科三類に現役合格し学科主席で卒業しており、とても優秀な方であることが分かります。文科三類は、文学部・教育学部・教養学部にあたり、吉田裕子さんは教養学部超域文化科学科に進んだそうです。

この本には、国語力を高める最初のステップとして、国語には論理と感性の2つの側面があることを理解する必要があると、書かれています。論理の国語は論説文などを指し、感性の国語は小説などを指します。

このテーマに関しては、論文と作文という分け方もあります。論文は、根拠を挙げて、自分の意見や正当性を主張する文章です。対して、作文は経験に基づき感想や分析などを述べる文章。そのため、作文は自分のことを書きますが、論文では自分のことを直接書かずに、間接的に書くことが多くなります。

このテーマについて、もう少し詳しく触れます。作文は、論理的な整合性より、内容が重視され、ある程度の文学的表現や主観的判断も許容されます。対して論文は、社会的な出来事が中心となり、論理的な思考力や知識量が評価され、客観的な判断が優先されるのです。

論文では、引用に基づき文章を書くことも多くなります。なぜなら、論文の目的の一つは、ある意見に対する自分の判断の正当性を主張することだからです。

ただし、どちらも自分の経験や考えを他人に伝えるための、自己表現であることは同じと言えるでしょう。

それから、エッセイのように、論文と作文の中間に位置するような文章もあります。創作的な物語になると、発想力や文学的な文章力がなければ、書くことはできません。自己表現であるため、革新的な人生観なのか、保守的な人生観なのかでも文章の雰囲気は変わることがあるはずです。

これらにより、どのような文章が得意なのか、あるいはどのように文章を書くべきなのかがはっきりするでしょう。

そして、論説文などに関しては、知識量が評価ポイントになるため、人によって得意な分野が変わります。作文においても、どのような人生経験を積み重ねてきたかによって、濃い内容の文章を書けるかが、変わってくるのです。

吉田裕子さんは、高校時代から、国語が得意であったそうです。大学入試の国語は、論説文が中心。硬質な論説文に取り組み、哲学用語などの語彙を増やしたそうです。小説に関しては、たくさん読んでいたわけではないとのこと。

それから、とても面白い授業をする古典の先生がいて、古文が好きになったそうです。古典以外にも、現代文や歴史などを興味深く感じ、楽しく勉強したと書かれています。

この本では、表現力を豊かにする方法として次の4つを挙げています。

  1. 新聞の文章を観察する
  2. 漢字検定で語彙力を高める
  3. 読書の幅を広げる
  4. 文章を書く機会を増やす

詳細をお知りになりたい方は、ぜひ購入して読んでみてください。子供の頃から、同じようなことを見聞きしてきましたが、書いていることが魅力的です。もし、これから国語力を磨き日本語の正しい使い方を学びたいと考えているなら、本書は道標となるでしょう。