文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

映画『新聞記者』政治問題をモチーフにした社会派ドラマ

 

韓国人気女優シム・ウンギョンさんを主役の日本人記者に抜擢

監督: 藤井道人
主演: シム・ウンギョン(吉岡エリカ役)、松坂桃李(杉原拓海役)

この映画は、新聞記者・望月衣塑子さんの著書である新書『新聞記者』を原案にし、脚色したオリジナルストーリー。

映画『新聞記者』は、日本で現実に起こった政治問題をモチーフにしたフィクションであり、人間ドラマとしての見どころも多い。
視聴してみると、サスペンスドラマのような、味わいも得た。
あるいは、社会派エンターテイメント。
あくまで映画なので、本当にあり得るかは別にして、最後まで真剣に見入ってしまう映画だった。
逆に、作品に集中していないと、結末の行方や伏線を見逃してしまうかも。

原案は望月衣塑子さんの『新聞記者』

 

望月衣塑子さんの『新聞記者』は、第23回平和・協同ジャーナリスト基金賞の奨励賞を受賞している。
原案の新書『新聞記者』には、記者への憧れから始まり、望月衣塑子さんの記者人生やこれまでの体験などが書かれている。
映画『新聞記者』とは、内容が異なり、あくまで原案ということになる。

映画『新聞記者』の主要な登場人物とあらすじ

新聞記者の吉岡(シム・ウンギョン)が調査していたのは、大学新設計画に関すること。
そして、真実を知るための、キーパーソンとなる人物が内閣府の神崎(高橋和也)。
だが、神崎は真実を抱えたまま、自殺してしまう。

吉岡は、神崎の葬儀で杉原(松坂桃李)と出会う。
杉原は、内閣情報調査室のエリート官僚であり、神崎のかつての部下。

吉岡は杉原の協力もあり、東都新聞の一面にスクープ記事を報じることができた。
しかしその直後に、吉岡は神崎からの手紙が、マンションの郵便受けに届いていたことに、気付く。
しばらく放置していた新聞や郵便物が、溜まっていたのだ。
その手紙により、杉原は真実を知ることになる。
ということは、スクープは誤報?

最終的には、内閣情報調査室や政権の上層部に嵌められた、あるいは権力に屈したということになるのだろうか。
結末は、視聴者に想像させるような、終わり方だった。

権力と戦おうとした杉原であったが、最後の最後で、心が打ちひしがれたのであろう。
交差点で吉岡と杉原が顔を合わせたときの、青褪めた杉原の表情からは、意気消沈した様子が窺えた。
吉岡も、何かを察したことだろう。

吉岡に協力した杉原であったが、最後まで吉岡に力を貸すことはできなかったということだろうか。

シム・ウンギョンさんの日本語と演技

シム・ウンギョンさんの日本語に関しては、演技が上手くても、発音などに違和感はあった。
これは致し方ないのかもしれない。
出だしは気になったが、吉岡はアメリカ生まれ、父親が日本人、母親が韓国人という設定だった。
吉岡の父親もまた、ジャーナリストであったが、書いた記事が誤報とされ、自殺したという、吉岡にとって、とても辛い過去がある。
シム・ウンギョンさんは、この映画で第43回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。
彼女は、韓国映画界の至宝と言われており、日本文化や日本映画への関心が強い女優だ。
本人が、そう述べている。
日本での映画評も高く、客観的にみても難しい役を好演したということになるのだろう。

また、第43回日本アカデミー賞では、『新聞記者』が最優秀作品賞を受賞し、最優秀主演男優賞も松坂桃李さんが受賞した。
評判通り、2019年度の必見映画であると感じた。

本当にあり得るようなことかは、定かではないが、世の中や人生を考える一助になる。