文学の嗜み

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村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 主人公が語る過去の悲痛な出来事

 

 

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、2013年に文藝春秋から刊行された村上春樹さんの長編小説です。本作はいわゆるリアリズム小説。

多崎つくるには、高校時代に4人の友人がいました。
赤松慶、青海悦夫、白根柚木、黒埜恵理の4人です。
4人の苗字には、色を表す漢字があります。
グループ内では、それぞれ「アカ」「アオ」「シロ」「クロ」の愛称で呼ばれていました。
主人公の多崎つくるだけは苗字に漢字を含んでいません。

5人は名古屋市の公立高校の同級生でよい関係が続いていました。
高校を卒業し、多崎つくるを除く4人は地元の大学に進学します。
多崎つくるは、東京の工科大学に進学します。
多崎つくるには、子供の頃から鉄道が好きで、将来の仕事を念頭に進学する大学を決めたようです。
多崎つくるは、大学に通い始めます。

地元名古屋へ帰省することになり、高校時代の仲間と連絡を取ろうとしました。
多崎つくるは、5人の関係はいつまでも続くと考えていました。
しかし、多崎つくるは突然、仲間たちから追放されてしまいます。
理由は伝えられず、多崎つくる自身も理由が分かりません。

多崎つくるは、一時死をも意識するほどの精神状態に陥りましたが、大学を卒業し鉄道会社へ就職しました。
鉄道会社で駅を設計する仕事に携わっています。
そして、2歳年上の木元沙羅と交際しています。

多崎つくるには、仲間達から絶縁された記憶が今でも残っています。
ある日、多崎つくるは、交際中の木元沙羅に過去に起きた出来事を話します。
自分を心底傷つけた、忘れられない出来事についてです。
木元沙羅は理由が分からないことに疑問を感じます。
4人に会って正面から向き合うことを勧めます。
そして、多崎つくるは巡礼の旅に出ることを決意したのです。

4人の人格から考えて、一方的に友人を拒絶することはあり得ないはずです。
一体、何があったのでしょうか。