文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

又吉直樹『火花』 身を置くお笑いの世界を小説に

 

『火花』は、お笑い芸人の又吉直樹さんが2015年に芥川賞を受賞した作品です。
又吉さんが、主要な文芸誌『文學界』でデビューするとあって、発売前から話題になっていました。
反響は大きく、掲載された『文學界』2015年2月号や単行本などは、記録的な売り上げ実績を上げています。

主人公の徳永は、中学時代からの友人である山下とお笑いコンビを組みました。
コンビ名はスパークスです。
スパークスは営業の仕事で、花火大会の会場で漫才をしました。
とは言っても、漫才をする声は、花火の音にかき消され、漫才を聞くために足を止める通行人は皆無に等しい状態です。

そんな中で、徳永に劇的な出会いが訪れます。
その人物とは、同じく花火大会の余興で漫才をしにきた神谷です。
神谷は相方の大林と、あほんだら、というお笑いコンビを組んでいます。
神谷と大林のあほんだらによる漫才は、主催者側の怒りを買うような内容でした。
しかし、徳永は神谷という人物に、興味を惹かれ始めていました。

帰りに、徳永は神谷から吞みに行かないかと誘われ、二人で居酒屋に入りました。
徳永は、居酒屋での会話の中で、神谷に「弟子にして下さい」と頭を下げます。
神谷は、「いいよ」と返事をしますが、一つだけ条件を付けます。
その条件とは、神谷の言動を書き残して、伝記を作ることです。
そして、二人の関係が始まりました。

徳永は神谷の人間味に惹かれ、神谷もまた徳永に心を開きます。
時には、周りの人間を巻き込みながら、人間関係の葛藤が生じます。
周りの人間とは、お互いの相方や、神谷と同棲している真樹という女性、芸人仲間などです。
徳永も神谷も、お笑いの仕事に打ち込みますが、苦労は絶えません。
そして、物語の最後は、誰も予想しないような結末です。