文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

小型国語辞典を9冊使ってみた感想

小型国語辞典を、学生時代に購入したものも含めて9冊所有しています。
発行年度が新しい辞典を中心に、使用する辞典が徐々に固定し、使い分けもしています。

頻繁に使用する辞典は、『三省堂国語辞典 第七版』(三省堂, 2014年1月10日発行)、『岩波国語辞典 第七版新版』(岩波書店, 2011年11月18日発行)、『新明解国語辞典 第七版』(三省堂, 2012年1月10日発行)の3冊です。
この3冊は社会人が使用している小型国語辞典のシェアにおいて上位を占めています。自然とこの3冊を使うことが多くなりますが、用字用語の種類や目的、あるいは文章を書いている分野によって、調べやすい辞典が変わることもあります。

他には、『明鏡国語辞典 第二版』(北原保雄, 大修館書店, 2010年12月1日発行)、『新潮現代国語辞典 第二版』(新潮社, 2000年2月5日発行)、『ベネッセ表現読解国語辞典』(ベネッセコーポレーション, 2003年5月初版発行)、『角川必携国語辞典』(大野晋・田中章夫, 角川書店, 1995年10月27日初版発行)なども所有しています。この4冊に関しては、状況によって使用頻度が増えます。
『旺文社国語辞典 改訂新版』(松村明・山口明穂・和田利政, 旺文社, 1986年10月20日発行)と『学研現代新国語辞典 改訂第三版』(金田一春彦, 学研, 2002年4月1日発行)の2冊は、他の7冊よりもだいぶ前に購入した辞典です。所有している『旺文社国語辞典 改訂新版』は発行年度がもっとも古く、当時の言語感覚などを知るのに、役に立つことがあります。

『三省堂国語辞典』の初版発行が1960年12月10日、『岩波国語辞典』の初版発行が1963年4月10日、『新明解国語辞典』の初版発行が1972年1月24日。3冊とも歴史が長いだけでなく、定期的に改訂されてきました。国語辞典においては重要なことです。

国語辞典にも特徴があり、『三省堂国語辞典』と『明鏡国語辞典』は新語に強く、用例主義と言われています。『明鏡国語辞典』の方が、『三省堂国語辞典』より厚みがある分、説明が充実しています。『明鏡国語辞典』は誤用についても詳しいのが特徴です。

 
 

 

『新明解国語辞典』は解釈の国語辞典として人気があります。
『新明解国語辞典』と『三省堂国語辞典』は出版社が同じ三省堂ですが、二つの辞典にはそれぞれ異なる特徴があります。それが辞典の付加価値を生み、二つの辞典を出版する理由にもなっているのです。もちろん編者が異なることも、大きな違いと言えるでしょう。

 

 

『岩波国語辞典』も使用頻度が多くなる辞典です。この辞典は、規範主義でオーソドックスな国語辞典です。オーソドックスなだけに使いやすく、疑問が解決することもあります。『岩波国語辞典』を使っていると、『岩波国語辞典』だからこその気付きを得られることもあるのです。
それから、漢語や和語などを調べたいときも、『岩波国語辞典』が良いかもしれません。ただ、歴史のある言葉だと、古語辞典を使うという方法もお勧めです。私は『岩波古語辞典 補訂版』(大野晋・佐竹昭広・前田金五郎, 岩波書店, 1990年2月8日発行)を使っています。

 

 

小型国語辞典は、各出版社から様々な辞典が発行されていて、人によって好みや相性が変わるかもしれません。
例年、社会人向けの国語辞典では、売り上げ上位を『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』の3冊が占めているようです。
小型国語辞典を見比べてみると、出版社や編者によって特徴があり、結構、違いがあります。調べる用字用語や目的に応じて使い分けられるように、数冊の国語辞典を所有するのが好ましいのかもしれません。
文章を書く仕事をしている方はもちろん、社会人なら数冊の国語辞典を所有して使い分けるべきでしょう。

類語国語辞典も一冊手元にあったほうがよいでしょう。私は『類語国語辞典』(大野晋・浜西正人, 角川書店, 1985年1月30日初版発行)を使っています。

特定の事柄を専門とする国語辞典には、『日本語 語感の辞典』(中村明, 岩波書店, 2010年11月25日発行)、『基礎日本語辞典』(森田良行, 角川書店, 1989年6月10日初版発行)、『てにをは辞典』(小内一, 三省堂, 2010年9月17日発行)などがあります。

国語辞典には『日本国語大辞典』(小学館)のように、総項目数が50万を超え、全13巻からなる大型辞典があります。中型国語辞典には、『精選版 日本国語大辞典』(小学館)、『広辞苑』(岩波書店)、『大辞林』(三省堂)、『大辞泉』(小学館)があります。
私は大学時代に紙の『大辞林 第二版』(三省堂, 1995年11月3日発行)を使っていました。現在は、iPadとiPhoneにアプリをインストールし『精選版 日本国語大辞典』と『広辞苑 第七版』と『大辞林 第三版』を使っています。

私は国語辞典が好きで言葉を調べるのが好きなので、日常的にこれらの国語辞典を引いています。
『角川必携国語辞典』(大野晋・田中章夫, 角川書店, 1995年10月27日初版発行)の冒頭には、「この辞典を使う皆さんへ」と題した編者・大野晋さんによる序文があります。高校生を主な対象として書いた序文のようです。この序文は、ノーベル賞作家・大江健三郎さんが、大きな国語辞典をがさがさになるまで使って、3冊も買いかえたというエピソードで締め括っています。大野晋さんは、1995年8月に書いたこの序文の中で、辞書がぼろぼろになるまで使いこんでいただきたい、と述べています。