文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

実写映画『君の膵臓をたべたい』老若男女を問わず泣ける

 

実写映画『君の膵臓をたべたい』は、高校時代のクラスメイト・山内桜良の言葉をきっかけに国語教師になった志賀春樹が、母校の図書館で一人の教え子と会話をしながら、当時のことを思い出してゆく設定になっている。

原作は、住野よるさんが著した同名の青春小説。
小説『君の膵臓をたべたい』は、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿した作品が出版に至った、住野よるさんのデビュー作である。
出版元は双葉社。
小説『君の膵臓をたべたい』は、若い女性層を中心に泣ける小説として口コミが広がり、ベストセラー小説となった。

原作の小説『君の膵臓をたべたい』では、主人公は高校生の「僕」。
主人公である「僕」の目線で物語は語られる。
高校時代の青春小説である。
小説冒頭はクラスメイトであった山内桜良の葬儀。
しかし主人公の「僕」は、通夜にも葬儀にも参列しない。

小説『君の膵臓をたべたい』は、2016年にオーディオドラマ化され、2017年に実写映画化、2018年にはアニメ映画化された。

実写映画では、原作にはない12年後の世界が描かれている。
国語教師になった「僕」/志賀春樹(小栗旬)や、高校時代の同級生、彼らの交流も脚本に加えられた。
ただし映画においても、メインは高校時代である。

監督を月川翔さん、脚本を吉田智子さんが務めた。
実写映画は、浜辺美波さんと北村匠海さんのダブル主演。
高校時代の山内桜良役を浜辺美波さん、高校時代の志賀春樹役を北村匠海さんが演じた。

高校時代の志賀春樹は、教室で本を読んでいることが多く、クラスでは地味な存在だった。
人間関係を築くことを嫌い、一人でいることを良しとするタイプ。
志賀春樹は図書委員をしていた。

ある日、志賀春樹は、病院で「共病文庫」という日記を拾う。
膵臓の病を患っている人の日記だ。
持ち主に声をかけられて見上げると、クラスメイトの山内桜良であった。

志賀春樹は、山内桜良の余命が幾ばくも無いことを知る。
山内桜良はクラスの人気者。
山内桜良は、元気で明るく、笑顔を絶やさない少女。
教室では、友達に囲まれながら話をしていることが多い。
余命が幾ばくも無いとは到底思えないほど、山内桜良は気丈な振る舞いを続けている。
この事は、山内桜良の家族以外では、志賀春樹しか知らない。
山内桜良は、親友の滝本恭子(大友花恋)にも打ち明けていない。

病院での出会いをきっかけに、山内桜良と志賀春樹は、一緒に時間を過ごすようになる。
二人の性格は対照的に見える。
だが山内桜良が積極的に志賀春樹に近づいてゆく。
始めは躊躇っていた志賀春樹だが、徐々に打ち解けてゆく。

山内桜良は、短い余命を志賀春樹と過ごすことで、楽しもうとする。
残りの人生を全うしようとする山内桜良の姿には、志賀春樹も心を打たれたことだろう。
しかし山内桜良の命は、最近、付近に出没していた通り魔によって奪われた。
フィクションだと知っていても、悲しくなる。

山内桜良の死から12年が経った。
社会人となった滝本恭子(北川景子)の職業は花屋の店員。
近々結婚の予定。
滝本恭子は、結婚式を目前にしていても、親友・山内桜良のことを忘れられない。
滝本恭子の結婚相手は、高校時代のクラスメイト・宮田一晴。
桜良と春樹と恭子と一晴の四人は、高校時代にクラスメイトの時期があった。
宮田一晴は、写真が趣味で、ガムを噛んでいることが多い。
高校時代、宮田一晴はクラスで孤立しがちな志賀春樹のことを何かと気にかけてくれた。

高校時代の宮田一晴役を矢本悠馬さん、社会人になった宮田一晴役を上地雄輔さんが演じた。

映画の最後では、社会人となった志賀春樹と滝本恭子は、ある出来事をきっかけに、山内桜良が12年前に二人に伝えたかった想いを知る。

若い女性だけでなく老若男女を問わず、泣けるし感動できる作品だと思う。

原作は住野よるさんの同名小説『君の膵臓をたべたい』( 双葉社, 2015年6月)