文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

日本語における「助詞・助動詞・動詞・形容詞・副詞」の役割

目次

森田良行氏の『助詞・助動詞の辞典』と『動詞・形容詞・副詞の事典』

森田良行氏の『助詞・助動詞の辞典』(東京堂出版, 2007年9月)と『動詞・形容詞・副詞の事典』(東京堂出版, 2008年10月)は、日本語について深く学ぶことのできる書籍である。
形容動詞については、形容詞編で扱っている。また、連体詞については副詞編において。

著者は、1930年生まれの国語学者。日本語の文法や語彙などの研究をし、著書は数多く、辞典の著作・編纂の実績もある方。

 
 

わかっているようで理解できていない疑問を、解決できそうな内容である。

一般の国語辞典でも、個別の意味なら列記している。しかし、類語との使い分けや、用例までは学べない。また、文法辞典は、活用形式や規則などが主である。それに対して、本書は、意味や表現についても扱っている。

辞典と事典

書籍名は、助詞・助動詞編は「辞典」だが、動詞・形容詞・副詞編を「事典」としている。この理由については、著者は次のように説明している。

用言や副詞は、助詞・助動詞とは違って、語彙量が多い。そこで、特記事項を見出しとして立て、具体例を紹介しつつ解説するのが最良と考えた。そのため「事典」と銘打ったとのこと。

膠着語における助詞・助動詞の重要性

森田良行氏は、日本語について、『助詞・助動詞の辞典』のプロローグで次のように述べている。

語彙に対して話者の把握認識の有り様を示す言葉を添えて、より複雑な内容の叙述形態へと発展させていく。

日本語は、助詞を添えながら話を進めていく表現形式。日本語の場合、種々の助詞を適宜添えることで、言いたいことを文形式として定着させる。助詞の順番や組み合わせにより、話の内容が変わる。
日本語と英語では、言語の性格が異なる。日本語は、英語のように構文規則によって順番に並べるだけでは成立しない。日本語の助詞は、表現内容を形成する際に、重要な働きをしている。

英語などを屈折語というのに対して、日本語は膠着語といわれる言語。

日本語は、助詞・助動詞の助けを借りて、ひとつの文節を構成する。
このことは、日本語文法での品詞分類に大きな影響を与える。

森田良行氏に言わせると、英語などは内容をドライに叙述する言語とのこと。英語などは一見論理的に見え、日本語は情的で論理性軽視に見えるかもしれない。
しかし日本語は、論理を曲げることなく、正確に叙述内容を伝えている。ゆえに、日本語は論理と感情の両面を合わせ持つ性格の言語であると。

助動詞に関しても同じだ。日本語は、まず客観的な叙述内容を述べる。そして、表現主体の受け止め方は、助動詞などを添え加えることで相手に伝える。

接続助詞に関する、森田良行氏の見解についても触れておく。情報内容を広げる場合、新たに文を起こし連文とする方法と、繋ぎ言葉により展開する方法とがある。前者が接続詞を使う方法で、後者が接続助詞を使う方法。

いったん文を切り、改めて判断を加える接続詞による方法は、論理性寄りの印象を与える。対して接続助詞を使うと、どういった印象を与えるだろうか。森田良行氏の言葉を借りれば、表現意識の連続性といった情的な面の濃い表現となる。
接続詞を使う方法は、前件・後件の論理関係を示すことを重視する表現方式と言える。対して接続助詞を使う方法は、感情の流れに乗って話を展開させていく表現方式。

日本語の接続助詞のような展開は、他の外国語では見られない。日本語には、相対的に主観的認識、情的な側面が見え隠れする。

日本人は、相手を意識して会話を進めることが多い。そのため、文の終わりだけでなく、文節の切れ目にまで、相手を意識した言葉が現れるのだ。森田良行氏は、こういった日本語の特徴を踏まえ、日本語表現の向上に役立つ『助詞・助動詞の辞典』を著した。

助詞の使い方と表現

「に」「へ」「を」の中から、どの格助詞を選ぶかで、表現に与える影響ははかり知れない。

特に俳句や詩などでは、助詞の働きは気になる。
これは散文でも同じことであろう。

助詞の使い方は、理屈ではなく感情に支配されるため、一筋縄ではいかない。

日本語は、意味内容に加え、話者や書き手の心の有り様を添える言葉が発達している。
付属語といわれる言葉。助詞や助動詞にその特徴が顕著に現れるのだ。

森田良行氏は、次のようなことも述べている。

助詞や助動詞は、言葉に肉付けをしていく。ただし、使い様によっては、贅肉ともなりかねない。

種々の助動詞を添えることで、表現を多様にする。
助動詞が異なれば、判断の根拠も異なるはずである。

文法辞典では活用形式や接続規則などはわかるが、意味と文法との関連や文型については触れていない。
表現に役立つ辞書にするために、助詞や助動詞を意味や表現の面から扱ったのが、森田良行氏の『助詞・助動詞の辞典』である。

日本語は、単語を構文規則によって順番に並べるのではなく、語彙に対して有り様を示す言葉を添えて、より複雑な叙述形態へと発展させていく。

「が」「を」「に」などの格助詞は、比較的に自由に入りうる。そのため様々な組み合わせによる表現が可能だ。格助詞の「と」を加えると、さらに組み合わせは膨れ上がる。英語などの言語とは異なる。

話が少しだけ本筋からそれるが、国際的な言語学の分野において、「主語優勢言語(subject-prominent language)」「主題優勢言語(topic-prominent language)」という用語がある。

印欧語などは主語優勢言語であり、通常の文には統合的に主語が存在する。
中国語などの主題優勢言語は、必ずしも主語を要さず、主題も統合的とは限らない。
そして日本語は主語・主題の両方が優勢な言語
また、フィリピンのタガログ語はどちらも優勢でない言語とされる。

つまり4つの類型に分けられる。
アメリカ合衆国の言語学者、チャールズ・N・リー氏と、サンドラ・トンプソン氏により、1976年に提唱された。チャールズ・N・リーは中国出身者である。

日本語では、主語も主題も「は」「が」で示され、どちらも文の必須要素ではないが、「は」に関しては統語的である。

日本人が中学校で習う口語文法では次のように説明されてきた。
主語は、「が」「は」などの助詞を伴った文節であるが、ない場合や省略されることも多い。

しかし、日本語の主語については、専門的な見解が統一していない。

たとえば、「AにはBがある」という文について考える。

  • 形態を重視すれば、格助詞「が」を伴う文節の「Bが」が主語
  • 統合・意味を重視すれば、「Aには」が主語であり、「Bがある」は連語述語
  • 機能を重視すれば、「Aに」が係助詞「は」を伴うことで主題となり、「Bが」は主格補語

森田良行氏は、「~は」のほうを主題、「~が」のほうを主語として区別している。

森田良行氏の見解について、簡単にではあるが触れる。

まず、「は」について。
「は」は係助詞として機能する。
そして係助詞は、広義には副助詞の一種とも見られる。
その中で係助詞は、文末の陳述にまで係っていく働きをもつ。
よって、主題を示していないときは、係助詞とはいわない。

つまり、係助詞「は」は主題を示す。
「主題+ハ」文型として見ていく必要がある。
一つの文の中は「課題(A)/解答(B)」の二部構成。
ただし、「AはBだ」となっても、「A=B」とは限らない。

これは外国語に直訳できない日本語の表現。

係助詞「は」には、対比・排他の意識と、複数のものから取り立てる意識が込められている。
そして述部で判断を下す。

「~は」は、判断文である。

判断文

外なる対象を主題として取り上げ、それに対する答えを内なる己の判断として説明する。己独自の判断による文。

つぎに、「が」について。
「が」は格助詞。もちろん接続助詞としも使われるが、ここでは格助詞について。

一般的に、「ガ」文型は、「現象文」と「転位文」とに分かれる。
次のような解説があった。

現象文

内なる己が外なる対象を見て、認識する現象把握の文

転位文

「Bガ」の部分は、既知なる事実に対する解答(内なる判断)。判断文を逆転した形。

「主題+ハ」文型のところで、「課題(A)/解答(B)」の二部構成という概念に触れた。
転位文の「主語+ガ」では、主語が解答となり、順番が入れ替わる。「解答(B)」ガ「課題(A)」。

現象文の「主語+ガ」は、現状をそのまま叙述する形の文である。

つまり、そのまま叙述するのが「現象文」で、主語の部分が、質問への解答となる表現が「転位文」。

また「が」は、述部の事柄の対象として、用いられることもある。いわゆる対象語のこと。
格助詞に「を」がある。「を」は、古代の詠嘆を表す終助詞が転じたものと言われる。
「何が」と「何を」の意味が近くなると、使用上のゆれが生じやすい。

助詞には、係助詞や副助詞のような複雑な働きの語彙があり、その他にも格助詞や接続助詞、並立助詞、準体助詞、終助詞、間投助詞がある。これらの詳細は、『助詞・助動詞の辞典』に書かれている。

助動詞を添えて、受け止め方、有り様を表現

日本語は、客体的な叙述内容をまず述べ、その後に、助動詞を添えて、受け止め方、有り様を表現する。
助動詞は、文中での語順は定まっていて、入れ替えはできない。
文末にいくにしたがって、話者の主観的態度の現れの程度が強まっていく。

そこで、本書の見出しにおいても、そういった順序に従って、「使役」からの順番となっている。
見出しは、「使役」「自発」「可能」「受身」「尊敬」「希望」「打消」「確述」「推量」「当然」「比況」「伝聞」「断定」「丁寧」という順番になっている。

次のようなことも書かれている。

古来、日本人は己を他の人々と並べて客体化する意識に乏しい。
「己」は、あくまで周りの人々や状況を受け止める主体、すなわち「自分」。
人々は、己を取り巻く「他者」、時には向き合う「相手」。
言語行動においても、発話に際しても、相手意識のもとに会話が進められる。
敬語表現の発達にも、受け身や受給表現の多用にも、日本語の特徴がみられる。

日本語には、話者の主観に基づく認識把握が、言葉の随所に表れる。

動詞・形容詞・副詞という品詞分類

さらに森田良行氏は、『動詞・形容詞・副詞の事典』という書籍も執筆している。
合わせて購入すると勉強になるであろう。

動詞や形容詞といった分類は、表面的な形式面での区分けにすぎない。

副詞に関しては、他語との結びつきからひとまとめにされた品詞の一群。

品詞分類が形式的な視点からおこなわれると、どうしても品詞の概念が一律ではないという欠陥が生じてしまう。

すべての自立語と付属語を、文法的観点から品詞分類しようとしても、どうしても問題が残ってしまう。

副詞的な用法の「急いで/早く/直ぐ」という言葉

たとえば、急いで何々しなさい、といった一文があるとする。
このような文頭の「急いで」は、「早く/直ぐ」に言い換えができる。

いずれも副詞的に使われているにもかかわらず、形式面にこだわると、言葉としては共通の文法的機能にある、「急いで/早く/直ぐ」が別々の品詞にされてしまう。

急いで

「急いで」に関しては、言葉としてはひとつだが、品詞論では動詞「急ぐ」と接続助詞「て」に分類されてしまう。接続助詞「て」は、用言や助動詞など活用する語の連用形を受けて、前後の句をつなげる。

「急ぎ」という言葉があるが、これは動詞「急ぐ」の連用形の名詞化である。急ぎ何々と、副詞的に用いることもある。

動詞「急ぐ」は、口語文法における現代仮名遣い(現代語)では五段活用なので、下記の表のように活用する。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
急ぐ -が -ぎ -ぐ -ぐ -げ -げ
-ご -い

動詞としての側面にもう少し触れると、「急ぐ」は自動詞にも他動詞にもなりうる。
心の準備として「急ぐ」と考えるなら、本来は自動詞。
だが、対象を「を」格で示して、「道を急ぐ」のような他動詞の言い方もできる。

動詞に関していえば、西欧語では目的語をとるかとらないかで、自動詞と他動詞の別がはっきりと表れるが、日本語では必ずしも明確ではない。

それから「急ぐ」を、歴史的仮名遣い(文語)の四段活用にすると、下記の表のように活用する。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
急ぐ -が -ぎ -ぐ -ぐ -げ -げ

早く

「早く」に関しては、副詞としても扱える。
だが、形容詞「早い」の連用形である。

形容詞の口語文法(現代語)は、下記の表のように活用し、種々の表現方法に合わせて語形を変える。
連体修飾や条件表現などの機能を備えている。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
早い -かろ -かっ -い -い -けれ -かれ
-く
-う

※連用形の「う」はウ音便
※形容詞に命令形がないと考えると、「早く」に「しろ」「せよ」などを付けることになる

文語形では「早し」となる。ク活用とシク活用があるが、「早し」はク活用。
下記の表のように活用する。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
早し -く -く -し -き -けれ -かれ
-から -かり -かる

※未然形の「-く」については、ないとする学説もある。

形容詞の基本形は、ク活用とシク活用である。

文語のシク活用は、終止形を除いて、「し」を付けるだけである。
現代語に関しては、シク活用も活用語尾の「し」を除いてしまえば、ク活用と完全に一致する。

本来、形容詞は、客観的な事物の様態がどんなであるか、主観でとらえて言葉にする抽象性の濃い品詞である。そのため、動詞と異なり具体性に乏しい。
現在の状況・状態を認知するだけなら、形容詞をそのままの形で示せばよい。
しかし、過去を振り返り、回顧意識に立つなら、具体性を獲得しなければならない。

そこで、状態性の動詞「ある」の力を借りることになる。それで初めて、回想意識の「た」が添いうる。

たとえば、「早い+た」は次のように変化してゆく。

早い+た → 早い(+ある)+た → 早くある+た → 早くあった → 早かった

これが形容詞のカリ活用である。

それから、文中での働きによっては、形容詞「早い」の連用形からの名詞化と考えたほうが適切なこともあるだろう。

「早く」に関しては、接尾語にもなる。
時の名詞に付いて、その時間帯の前の方をさす。
たとえば、「朝早く」。

直ぐ

「直ぐ」は副詞である。
時間的な意味と場所的な意味がある。つまり時間をおかないさま、距離をおかないさま。
格助詞「に」を伴うことも多い。

また、直ぐは形容動詞として用いられることもある。
この場合、まっすぐで曲がっていないさまを表す。
文体としては文章語である。

状態形容の語彙は本来形容詞が請け負っていた。古代から用いられている、やまとことば(和語)である。
形容動詞は語彙の不足から登場し、漢語にも外来語(洋語)にも跨って造語されてきた。
ただし、形容詞においても、形容動詞においても、和語由来のものもあれば、漢語由来のものもある。
「可愛い」「四角い」「烏滸(おこ)がましい」「鬱陶しい」等は漢語形容詞。
形容動詞はさまざまな語基に断定の助動詞「だ」の伴ったものであるから、むしろ漢語や外来語に基づくもののほうが多い。

形容動詞は、「~に/~だ/~な/…」と活用する点では、断定の助動詞が名詞を受けた形と一致する。
現に形容動詞を品詞として立てない説もある。
この場合、体言+断定の一種となる。
しかし形容動詞は、名詞の場合とは文法的性格が異なる。

形容動詞は事物の状態性を表す。
そのため、程度概念が付属する。
つまり、形容動詞は副詞を付けることができる。

逆に、名詞+断定は事柄的概念。状態性を意味していないので、副詞を添えられない。
そして名詞ということは、主語として立てられる。

また、名詞なら格助詞「の」で受けて説明的概念を付加できる。
形容動詞の場合は、連体形「~な」でもって、後続する名詞を修飾する。

形容動詞の中には、活用語尾を取り除くと、語幹が自立できない単語もある。
その場合、活用語尾を助動詞として切り話すことはできない。
たとえば、「静かだ」「厳かだ」等。

以上の理由から、森田良行氏は、形容動詞を品詞として認める立場をとられている。

ただ、語幹で言い切ったり、「そうだ・らしい・です」を続けたりする用法は可能であろう。

一般的な学校文法では、形容動詞は次のような活用になる。

ここでは和語系統の形容動詞の「静かだ」を例にする。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
静かだ 静か -だろ -だっ -だ -な -なら  
-で
-に

現代口語では、「静かに/静かな/静かなら」が基本形。

ナ行で活用する本来の形のほかに、断定の「だ」に状態動詞「ある」を伴うと、「~だろ/~だっ/~だ」となる。

「~だろ/~だっ/~で/~だ」は「~である」に、「~に/~な/~なら」は文語の「なり」に由来する。

現代口語の基本形のほかに、状態の動詞「ある」の助けを借りた、文語的な形も残っている。
ナリ活用である。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
静かなり 静か -なら -なり -なり -なる -なれ -なれ
-に

「~なる」は「に+ある」に由来すると考えられる。
和語のほか、漢語にも付く。

文語では、「とある」に由来する「~たる」もある。タリ活用である。
「~たる」は、主として漢語系統の形容動詞として働いている。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
堂々たり 堂々 -たら -たり -たり -たる -たれ -たれ
-と

「堂々たる態度」は「堂々と・ある」、すなわち「副詞+ある」。

これは文語での問題である。
現代口語では、語形が固定し活用しない。
「堂々と」は副詞で、「堂々たる」は連体詞と見ることになる。
学校文法でも同様である。

口語文法において、ダ型活用と異なる活用として、タル・ト型活用とすることもある。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
      -と   -たる   -たれ

丁寧体では次のようになる。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
静かです 静か -でしょ -でし -です -です    

※連体形の「です」は、助詞の「ので・のに」が付く場合にかぎられる。

「急いで/早く/直ぐ」のような基礎的な言葉については、森田良行氏の『基礎日本語辞典』(角川学芸出版, 1989年6月)が参考になるだろう。
意味・用法についての細かい分析や、関連語とその使い分けなどについて、詳しく学ぶことができるからだ。

まえがきの冒頭では、基礎語のむずかしさについて、次のように説明している。

  • 意味の領域がひじょうに広い
  • 本義から転義、比喩的な意味までさまざま
  • 他の語との重なりとずれが複雑
  • 微妙な使い分けや意味の分担がある

いずれの品詞でも意味・用法上問題点の多い語を優先して選んだ、とある。
基礎的な和語を中心に、注目すべき点の多い語が、採録されている。

 

副詞は様態・程度の連用語

森田良行氏の『動詞・形容詞・副詞の事典』において、副詞に関して次のようなことが書かれている。

副詞とは、動詞などの用言を修飾する。もっぱら連用修飾する品詞である。

連用語は、述語が表す事柄について、様子・程度・質・数量などをより詳しく表す。
原則として、副詞、形容詞・形容動詞の連用形。
ほかに、数量を表す名詞もある。

この中で副詞は、様態・程度の連用語を作る。
用言を補完する役割がある。
副詞になると、漢語の参加も許されるが、洋語はまだ受けられていない。

助詞や助動詞をしっかりと束ね、叙述を完璧なものとさせるのは、動詞と形容詞。
さらに、副詞を加え、きめ細かな描写にすれば、日本語はほぼ完全な形として整う、とのこと。

副詞は多岐にわたる

副詞は、連用修飾という共通点から、グループにまとめたものだが、和語と漢語という語種の面、格助詞の「に」や「と」を添えたものなど、多岐にわたる。

副詞全体としては、文法面より語彙面からの検討がより重要である、と書かれている。

動詞も形容詞もやまとことば

森田良行氏は、『動詞・形容詞・副詞の事典』の「おわりに」において、次のようなことを述べている。

形容詞は状態叙述を中心とするだけ、動作性を主とする動詞に比べれば、遥かに運用の幅は狭い。
ただし、語種の面から見直してみると、動詞も、形容詞もやまとことば。漢字訓読みの和語である、と。

対して漢語や洋語(カタカナ外来語)も動詞として機能するが、和語動詞「する」の力を借りている。
形容動詞も同じで、断定の助動詞に頼っている。

助詞や助動詞は、文法機能専門の和語。
文法は、和語あっての漢語や洋語。

漢語も洋語も、語性としては体言。
これらの多用は、多様化する叙述内容への対処にすぎず、日本語の骨格を揺るがすような現象ではない。

参考文献: 森田良行『助詞・助動詞の辞典』東京堂出版, 2007年9月
参考文献: 森田良行『動詞・形容詞・副詞の事典』東京堂出版, 2008年10月
参考文献: 森田良行『基礎日本語辞典』角川学芸出版, 1989年6月