文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

東野圭吾『卒業』、作家デビュー2作目であり、人気シリーズの第1弾

 

東野圭吾さんの『卒業』は、1986年5月に講談社から単行本が刊行された、東野圭吾さんの推理小説。その後、人気シリーズとなった加賀恭一郎シリーズの第1弾である。東野圭吾さんにとっては、作家デビュー2作目にあたる。シリーズ第2弾の『眠りの森』以降は、加賀恭一郎は刑事となっているが、『卒業』の時点では大学四年生。

加賀恭一郎が通うT大学には、彼の高校時代からの仲間がいた。加賀恭一郎を含む7人の仲間は、県立R高校という進学校を卒業し、同じT大学に入学した。
事件が起きたのは、7人が卒業を控えた秋。仲間の一人・牧村祥子が、下宿先・白鷺荘で手首を切って死んでいた。祥子が死んだ部屋は密室。自殺だとしても理由が分からない。他殺の可能性も残る。そんな中、第2の事件が起きた。
再び高校時代からの仲間の一人・金井波香が死んだのだ。今度は服毒死。事件が起きた場所は、高校時代の恩師・南沢雅子の家。南沢の誕生日会を兼ねたお茶会が催されていた。
第1の事件・第2の事件ともに、難解なトリックである。加賀恭一郎は『卒業』では大学四年生であったが、仲間の死の真相を懸命に究明しようとした。

東野圭吾さんは、1958年2月4日、大阪府生まれ。『卒業』が発表されたのは、東野圭吾さんが28歳のときである。大学生の肖像はリアルで自然。東野圭吾さんの推理小説は、理系出身の著者ならではの、専門知識を活かしたトリックだけでなく、人物造形にも定評がある。