文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

速筆になるためのポイントは素材集め

 

上阪徹氏の『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)という本を読んだ。この本には、速筆になるには素材集めが重要と書かれている。正しい素材をひたすら集めて順番に組み立てると、世の中の役に立つ文章を速く書ける。

上阪徹氏は、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広く執筆している方。執筆テーマは、経営、金融、ベンチャー、就職などビジネス系が多い。大学も商学部を卒業している。これまで3,000人を超える取材実績があるそうだ。
ブックライターという肩書を使うことが多く、上阪徹氏は著者に代わって本を執筆することも多い。

この本は、紙媒体もしくはWeb媒体の記事や、ビジネス書などを執筆する際に参考になるだろう。ブログ記事やメール文などを書くときも、役立ちそうだ。

遅筆の人は、起承転結や文法などのセオリーに拘りすぎるのかもしれない。書いた文章が世の中の役に立つかは、中身が重要だ。上阪徹氏は、文章の書き方などの本を読んだことはないそうだ。

文章作成の準備で重要なのは、必要な情報を得ること。書くことが決まったら、素材集めに走るべき。
読者が知りたいのは具体的な事実。どうやって書くかは考えずに、何を書くかに集中したほうがよい。集めた素材を表現にまとめようとすると、抽象的になり読み手に伝わりにくい。

素材集めには、正しい方法や注意点がある。
目的と読者を明確にすると、正しい素材を集めることができる。文章を書く際は、読者は誰が書いた文章なのかを常に見ていることも、意識すべきだ。
素材が集まったら、読みやすい順番に組み立てる。

上阪徹氏は、800字に満たないような短い文章であれば、素材を読みやすい順番に組み立てて、しゃべるように書くことを勧めている。その際に大切なのは書き出しと最後とのこと。

800字を超えるあたりからは、素材の並べ方が文章の分かりやすさに大きな影響を及ぼす。素材の並べ方とは、つまり構成力のこと。
2000字を超えると、しゃべるように並べていては、逆に作業がかなり大変になる。
5000字以上の長い文章では、構成力が問われることになる。

文章作成では、やはり構成力も重要だ。
文章力・構成力・取材力の3つが備わっていなければ、良い文章は書けない。
この本に書いていることを実践するには、もちろん文章基礎力を習得していることも前提になるだろう。

上阪徹氏は、素材を分かりやすく構成する骨格として、「結論・その理由・具体例・まとめ」という王道の構成を提案している。文章の最後でオチが見つからなくても、まとめでよいとのこと。
あくまでビジネス書などを執筆する際の話であり、創作文では大抵オチが必要になるだろう。オチを用意する際も、読んだ人に伝わらなくては意味がないので、細心の注意を払わなくてはならない。

PREP法という主にビジネスシーンで用いられる文章構成方法がある。
上阪徹氏の勧める文章構成もPREP法のようだ。
PREP法は、文章構成だけでなく、話の構成にも用いられる。
プレゼンテーションなどでも用いられることが多い。

ビジネスシーンでは特に話の分かりやすさが重要だ。
何を伝えるかだけでなく、どのように伝えるかは成功を左右する。

PREP法は、次の4つの要素の頭文字から名付けられている。

  1. Point(要点・結論・提案・目的)
  2. Reason(理由)
  3. Example(事例・具体例・結果・実績)
  4. Point(要点・結論・提案)

PREP法は、この4つの要素を順番に構成していくシンプルな方法だ。
簡潔かつ説得力のある文章を作成したいときに用いる。
4つ目の「Point」という要素に関しては、理由と具体例を踏まえた上で、要点をまとめると良いだろう。

前もって文章構成を明確にしておけば、準備がしやすくなる。
構成に迷ったら、「結論・その理由・具体例・まとめ」でよい。

創作文では、読者を引き付ける文章力や文体、読者を楽しませるテクニックなどが要求される。作家であれば、短い時間で面白い作品を作り上げなければならない。
それ以外の方なら、上阪徹氏の『10倍速く書ける 超スピード文章術』は大いに役に立つだろう。
もちろん文章基礎力を習得していることも前提だが、特に遅筆に悩んでいる方には勉強になることが多いはずだ。