文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

『ベネッセ表現読解国語辞典』わかりやすさを追求した国語辞典、対象は高校生

『ベネッセ表現読解国語辞典』(沖森卓也・中村幸弘, ベネッセコーポレーション)は、他の国語辞典とは異なる特徴があるので、簡単にではあるがご紹介したい。

 

本書は四部構成となっており、「辞典部」「漢字部」「機能語部」「敬語表現部」に分かれる。
ことばの特性に応じて、もっともわかりやすいスタイルで解説、というのがコンセプトのようだ。
辞典部での収録数は約3万5千項目である。

一字漢字や造語成分は「漢字部」。
接続詞・助詞・助動詞は「機能語部」。

対象は、国語学習の途上にある高校生とのこと。
方針として2点あげている。

  1. 論理的な文章や情緒的な文章を読解するのに役立つこと。
  2. 自己の思考や感情を的確に表現するのに役立つこと。

本書では、最初の見返しに全体構成についての説明がある。
他の国語辞典であれば、記号・略語表などが記載されている箇所。

その中で、全体構成が四部構成であることに触れ、辞典部についての説明がある。
次のような説明。

本辞典では、ことばの解説を単一の形式に押し込めるのではなく、ことばの特性に応じて適切な手法で解説しました。
1~5の5種類あります。

5種類とは次の5つのこと。

  1. 抽象語<漢語・外来語>
  2. 多義語<和語の動詞>
  3. 即場面性・即文脈性のある語<和語の形容詞>
  4. 多彩な表現をするうえで核になる語<名詞>
  5. 話し手の主観を表し、表現にニュアンスを添える語<副詞>

そして辞典部では、収録する単語を最重要語・重要語・一般語にわけ、それに表現チャートを加えている。

最重要語と重要語に関しては、1ページぐらい、単語によっては2ページ以上の紙面を割いている。

表現チャートは、表現の幅を広げるコラムで、「ものさし」「もっとぴったり」「いろいろ」の3種類計42から成る。

編者の沖森卓也氏は1952年生まれの日本語学者。2021年6月現在、教授を務める大学のホームページを見ると、専門は記紀万葉を中心とした日本古代資料の解読とその研究、と書かれていた。

もうひとりの編者、中村幸弘氏は、1933年生まれの国語学者。参考書や啓蒙書の執筆が多い方のようだ。