文学の嗜み

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出口治明『哲学と宗教全史』3000年に及ぶ世界の哲学と宗教の歴史を通して読める

 

出口治明氏の『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社, 2019年8月)は、期待を裏切らないタイトル通りの本です。内容と分かりやすさに満足しました。本書には、古代ギリシャから現代までの、世界の哲学と宗教の歴史が書かれています。
哲学者や宗教家は、世界を丸ごと理解しようとした人達です。3000年に及ぶ哲学と宗教の歴史を通して読むと、多くの気づきを得られます。

出口治明氏は、哲学の本の執筆を依頼された時、哲学と宗教はグラーデーションになっているからという理由で、一緒にしかもまるごと書くことを担当編集者に提案したそうです。出口治明氏は、「木を見て森を見ず」が嫌いとのことで、本書においても全部まるごと書くことにしたそうです。

出口治明氏は、世界1200都市を訪れ、1万冊超の本を読破した知の巨人として知られる方。書かれている内容に関しての信憑性が高く、安心して読めます。
インタビューを受ける際は分かりやすく話される方のようで、文章に関しても分かりやすいという印象を受けました。これは、大学時代の恩師である国際政治学者の故・高坂正堯氏(1934年 - 1996年)からの影響があったようです。
高坂正堯氏は、「古典を読んで分からなかったら自分がアホやと思え、今生きている人の話や書いたものが分からなければ相手がアホやと思え」と、学生たちに教えていたそうです。

出口治明氏は、歴史は科学という考えをお持ちで、「数字・ファクト・ロジック」を大切にしているそうです。歴史を文学的に捉える方もいますが、出口治明氏は科学的に捉える方です。出口治明氏は、自然科学も人文科学も人間や社会を理解するために必要と仰っています。現代社会にも、時世にあった哲学や文学などが必要です。哲学がなぜ必要かという問いに対する出口治明氏の考えにも共感しますし、本書を読んだことで多くのことを学べました。