Sugayan Blog

Written by Sugayan

文学

柳美里『家族シネマ』それぞれの場面が面白い小説、主人公・素美の家族と仕事の話

柳美里さんの短篇「家族シネマ」は、第116回芥川賞受賞作。物語のそれぞれの場面に、小説としての面白さを強く感じた。芥川賞の選評では、文学的才能を感じるといった言葉が、数名の選考委員から出ている。

川上弘美『蛇を踏む』端的に言えば変身譚、筆力の評価が高い作品

川上弘美さんの短篇「蛇を踏む」は、第115回芥川賞受賞作。端的に言えば変身譚。筆力の評価が高い作品。

白石一文『ほかならぬ人へ』若い男女の恋愛感情や葛藤などをリアルに描写

白石一文さんの『ほかならぬ人へ』は、第142回直木賞を受賞した作品。中編二作の作品集である。二作品とも、結婚適齢期の男女の、恋愛や葛藤などが、リアルな描写で描かれている。

平野啓一郎『マチネの終わりに』運命の出会いから始まった大人の切ない恋物語

平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』。運命の出会いから始まった大人の切ない恋物語。

川上未映子『乳と卵』大阪出身の女三人が織りなす物語

川上未映子さんの『乳と卵』は、第138回芥川賞受賞作。独特な大阪弁の文体で書かれており、それが小説としての面白さにもなっている。会話文にも地の文にもその傾向がある。

綾辻行人『時計館の殺人』シリーズ第5作は想像を超える大仕掛け

綾辻行人さんの『時計館の殺人』。シリーズ第5作は想像を超える大仕掛け。

山崎ナオコーラさんの短編小説集『肉体のジェンダーを笑うな』所収、「笑顔と筋肉ロボット」

山崎ナオコーラさんの短編小説「笑顔と筋肉ロボット」。科学技術の進歩のおかげで性差は縮まる!?

大前粟生『おもろい以外いらんねん』笑いと差別をテーマにした中編小説

大前粟生さんの中編小説『おもろい以外いらんねん』は、笑いと差別をテーマにと依頼され、書き上げた作品とのこと。2020年のコロナ下、リアルタイムで現実でも起きているようなことをフィクションに、と言われたそうだ。男性性を反省する言葉などは、本作の…

藤原無雨『水と礫』物語を反復させながら広げていく章立てが特徴的な作品

藤原無雨さんの『水と礫』は、第57回文藝賞受賞作。この小説は、章立てに特徴がある。

村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』世界を作り上げる大きな物語の、ごく微小な一部

村上春樹さんの『猫を棄てる 父親について語るとき』。亡き父親の戦争体験や父親との思い出、自身のルーツについて綴ったエッセイ。世界を作り上げる大きな物語の、ごく微小な一部について。

木崎みつ子『コンジュジ』現実と妄想と伝記の三つが絡み合う重層的な構造の小説

木崎みつ子さんの小説『コンジュジ』は、第44回すばる文学賞受賞作。この小説の主人公の名前は「せれな」。三人称で描かれている。

村上春樹『一人称単数』短篇集についての考察と世間の評判

短篇集は、文章の名手と言われるような、老練な作家が書くもの、という意見を聞くことがあります。この考えからすると、村上春樹さんの短篇集『一人称単数』は、正にそういった作品といえるでしょう。

村上春樹『海辺のカフカ』15歳の少年が主人公の幻想的な物語

村上春樹さんの『海辺のカフカ』は、書き下ろしの長編小説。村上春樹さんの長編小説としては、10作目となる。上下巻二分冊で刊行された。『海辺のカフカ』は、15歳の少年が家出を決意するところから始まる。

村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』夫婦の感情のもつれ、戦前の満州国

『ねじまき鳥クロニクル』は、村上春樹さんの8作目の長編小説。「第1部 泥棒かささぎ編」「第2部 予言する鳥編」「第3部 鳥刺し男編」の3巻から成る。

村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』二つ物語がパラレルに進む

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。第21回谷崎潤一郎賞受賞作。この小説は40章からなり、「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と、「世界の終り」の章が交互に繰り返され、二つの物語はパラレルに進行する。

ノーベル賞作家・大江健三郎氏が初期に書いた短編小説

大江健三郎氏は、在学時から多くの短編小説を主要な文芸雑誌に発表している。初期の短編小説は、『死者の奢り・飼育』や『見るまえに跳べ』などの短編集で読むことができる。

花村萬月『ゲルマニウムの夜』舞台は終戦後の東京都下の修道院

花村萬月さんの『ゲルマニウムの夜』は、第119回芥川賞受賞作。『ゲルマニウムの夜』はキリスト教の教義を軸にした作品。小説の舞台は、ラジオに米軍放送が流れてくる、東京都下の修道院。

吉田修一『パーク・ライフ』出会いは思いがけない場所で

吉田修一さんの『パーク・ライフ』は、第127回芥川賞受賞作。小説の舞台は、東京の日比谷公園。

松浦寿輝『花腐し』バブル崩壊から十年経った東京の古い木造アパートの一室

松浦寿輝さんの『花腐し』は第123回芥川賞受賞作。舞台は、バブル崩壊が始まってから、十年ほど経った東京。

石川達三『蒼氓』社会派作家の視線は民衆に向けられていた

石川達三氏(1905~85年)の『蒼氓』は、1935(昭和10)年の第1回芥川賞受賞作である。作品の冒頭は、1930(昭和5)年、神戸の国立海外移民収容所。これから900人以上の移民希望者が、ひと月半かけて、ブラジルのサンパウロ州にある港湾都市、サントスへ向か…

古川真人『背高泡立草』島の歴史とゆかりのある家族

古川真人さんの『背高泡立草』は、第162回芥川賞受賞作。本作には、9つの話があり、船着き場の話から始まり、帰路の話で終わる。この物語の本筋は、島にある納屋の周りの草刈りであるが、その他にも島の歴史についての話もある。

町屋良平『1R1分34秒』主人公の「ぼく」の人間性をどう思いますか?

町屋良平さんの『1R1分34秒』は、第160回芥川賞受賞作。主人公の「ぼく」は21歳のプロボクサー。C級ライセンスを取得し、四回戦の試合に出場している。パチンコ店員のアルバイトもしている。

上田岳弘『ニムロッド』謎のメールの展開と三人の関係

上田岳弘さんの『ニムロッド』は、第160回芥川賞受賞作。本作は、仮想通貨のビットコインなどを題材にして、情報化社会をどう生きるか、といったとことをテーマにしている。本作の主人公の名前は、ビットコインの創業者のサトシ・ナカモトと同姓同名である。

高橋弘希『送り火』なぜ苛めや暴力は起こるのか、どうすれば無くなるのか

高橋弘希さんの『送り火』は、第159回芥川賞受賞作。主人公は中学三年生の歩。父母と三人家族である。商社勤めの父は転勤が多く、今回は進級する春先に合わせて、東京から津軽地方の山間部へ引っ越してきた。

石井遊佳『百年泥』人生は不特定多数の人々の記憶の継ぎ合わせ

石井遊佳さんの『百年泥』は、第158回芥川賞受賞作。小説の舞台はインド、タミル・ナードゥ州チェンナイ市。著者が実際に暮らしている街だ。日本語教師の経験があるのも主人公と同じである。石井遊佳さんは、本作の着想を実体験から得た。

東野圭吾『放課後』、1985年に江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作

東野圭吾さんの『放課後』は、1985年の第31回江戸川乱歩賞受賞作。女子高を舞台にした学園ミステリーである。東野圭吾さんは、この作品で作家デビューを果たした。

東野圭吾さんの『あの頃の誰か』わけあり物件を集めた短編集!?

東野圭吾さんの短編集『あの頃の誰か』には、シリーズものでない8編が収められている。本書は、当初から文庫判として発売された。東野圭吾さんによれば、「わけあり物件」が収録されているとのことである。

佐伯泰英『居眠り磐音 陽炎ノ辻』大長編シリーズの第1作

佐伯泰英さんの「居眠り磐音シリーズ」は、全51巻からなる文庫書下ろしの時代小説。主人公の坂崎磐音を、最初に居眠り磐音と呼んだのは、国元・豊後関前藩での剣術の師・神伝一刀流の中戸信継。磐音の剣術の腕は確かだが、中戸信継は磐音の構えを居眠り剣法…

多和田葉子『犬婿入り』一軒家で学習塾を一人で経営する39歳の独身女性の話

多和田葉子さんの『犬婿入り』は、第108回芥川賞受賞作。犬婿入りとは、キタムラ塾の北村みつこ先生が子供たちに話した民話で、犬がお姫様と結婚する話。北村先生は39歳の独身女性。

東野圭吾『容疑者Xの献身』この世に存在することさえ知らなかった愛情表現とは

東野圭吾さんのミステリー小説『容疑者Xの献身』は、第134回直木賞を受けたほか、この年の数多くのミステリー系文学賞を受賞している。多方面から高い評価を受けた作品だ。