文学の嗜み

文学表現全体の総合的な研究

芥川龍之介賞

村田沙耶香『コンビニ人間』少し怖いがすかっとするユーモア小説

村田沙耶香さんの『コンビニ人間』は、第155回芥川賞受賞作。少し怖いがすかっとするユーモア小説です。男性はグロテスクな部分に注目する方も多いが、女性はすかっとするという方が多いらしい。どちらにしても面白い小説です。

柴崎友香『春の庭』古いアパートでの出会いと懐かし記憶を辿る物語

柴崎友香さんの中篇『春の庭』は、第151回芥川賞受賞作。柴崎友香さんは、本作の出発点が実体験から想像を膨らませたものであることを、インタビューで明かしています。

柳美里『家族シネマ』それぞれの場面が面白い小説、主人公・素美の家族と仕事の話

柳美里さんの短篇「家族シネマ」は、第116回芥川賞受賞作。物語のそれぞれの場面に、小説としての面白さを強く感じた。芥川賞の選評では、文学的才能を感じるといった言葉が、数名の選考委員から出ている。

川上弘美『蛇を踏む』端的に言えば変身譚、筆力の評価が高い作品

川上弘美さんの短篇「蛇を踏む」は、第115回芥川賞受賞作。端的に言えば変身譚。筆力の評価が高い作品。

川上未映子『乳と卵』大阪出身の女三人が織りなす物語

川上未映子さんの『乳と卵』は、第138回芥川賞受賞作。独特な大阪弁の文体で書かれており、それが小説としての面白さにもなっている。会話文にも地の文にもその傾向がある。

花村萬月『ゲルマニウムの夜』舞台は終戦後の東京都下の修道院

花村萬月さんの『ゲルマニウムの夜』は、第119回芥川賞受賞作。『ゲルマニウムの夜』はキリスト教の教義を軸にした作品。小説の舞台は、ラジオに米軍放送が流れてくる、東京都下の修道院。

吉田修一『パーク・ライフ』出会いは思いがけない場所で

吉田修一さんの『パーク・ライフ』は、第127回芥川賞受賞作。小説の舞台は、東京の日比谷公園。

松浦寿輝『花腐し』バブル崩壊から十年経った東京の古い木造アパートの一室

松浦寿輝さんの『花腐し』は第123回芥川賞受賞作。舞台は、バブル崩壊が始まってから、十年ほど経った東京。

石川達三『蒼氓』社会派作家の視線は民衆に向けられていた

石川達三氏(1905~85年)の『蒼氓』は、1935(昭和10)年の第1回芥川賞受賞作である。作品の冒頭は、1930(昭和5)年、神戸の国立海外移民収容所。これから900人以上の移民希望者が、ひと月半かけて、ブラジルのサンパウロ州にある港湾都市、サントスへ向か…

古川真人『背高泡立草』島の歴史とゆかりのある家族

古川真人さんの『背高泡立草』は、第162回芥川賞受賞作。本作には、9つの話があり、船着き場の話から始まり、帰路の話で終わる。この物語の本筋は、島にある納屋の周りの草刈りであるが、その他にも島の歴史についての話もある。

町屋良平『1R1分34秒』主人公の「ぼく」の人間性をどう思いますか?

町屋良平さんの『1R1分34秒』は、第160回芥川賞受賞作。主人公の「ぼく」は21歳のプロボクサー。C級ライセンスを取得し、四回戦の試合に出場している。パチンコ店員のアルバイトもしている。

上田岳弘『ニムロッド』謎のメールの展開と三人の関係

上田岳弘さんの『ニムロッド』は、第160回芥川賞受賞作。本作は、仮想通貨のビットコインなどを題材にして、情報化社会をどう生きるか、といったとことをテーマにしている。本作の主人公の名前は、ビットコインの創業者のサトシ・ナカモトと同姓同名である。

高橋弘希『送り火』なぜ苛めや暴力は起こるのか、どうすれば無くなるのか

高橋弘希さんの『送り火』は、第159回芥川賞受賞作。主人公は中学三年生の歩。父母と三人家族である。商社勤めの父は転勤が多く、今回は進級する春先に合わせて、東京から津軽地方の山間部へ引っ越してきた。

石井遊佳『百年泥』人生は不特定多数の人々の記憶の継ぎ合わせ

石井遊佳さんの『百年泥』は、第158回芥川賞受賞作。小説の舞台はインド、タミル・ナードゥ州チェンナイ市。著者が実際に暮らしている街だ。日本語教師の経験があるのも主人公と同じである。石井遊佳さんは、本作の着想を実体験から得た。

多和田葉子『犬婿入り』一軒家で学習塾を一人で経営する39歳の独身女性の話

多和田葉子さんの『犬婿入り』は、第108回芥川賞受賞作。犬婿入りとは、キタムラ塾の北村みつこ先生が子供たちに話した民話で、犬がお姫様と結婚する話。北村先生は39歳の独身女性。

遠野遥『破局』主人公の陽介が犯したそもそもの誤り

遠野遥さんの『破局』は、第163回芥川賞受賞作。主人公の陽介は法学部に在籍し公務員を目指す大学4年生。陽介は、高校時代のラグビー部顧問である佐々木からの依頼で、母校のラグビー部のコーチをしている。

高山羽根子『首里の馬』孤独なようで大胆にもなれる主人公の心温まる物語

高山羽根子さんの『首里の馬』は、第163回芥川賞受賞作。主人公の未名子は、近所にある私設資料館で、資料整理などの手伝いをしている。職場ではなく、中学生のときから続けている手伝いを、社会人になってからも、仕事が休みの時に行っていた。

又吉直樹『火花』 身を置くお笑いの世界を小説に

『火花』は、お笑い芸人の又吉直樹さんが2015年に芥川賞を受賞した作品です。又吉さんが、主要な文芸誌『文學界』でデビューするとあって、発売前から話題になっていました。反響は大きく、掲載された『文學界』2015年2月号や単行本などは、記録的な売り上げ…

村上龍『限りなく透明に近いブルー』 舞台は作者が以前住んでいた街

『限りなく透明に近いブルー』は、村上龍さんが大学在学中に書いたデビュー作です。1976年に群像新人文学賞を受賞し、『群像』に掲載されました。そして、その年の第75回芥川賞を受賞しました。