文学批評と研究

文学表現全体の総合的な研究

乗代雄介『旅する練習』完成度の高いメタ構造、喪失感が残る結末

乗代雄介さんの『旅する練習』は、第34回三島賞受賞作。第164回芥川賞の候補作でもある。風景描写によるメタフィクションなど、構造の完成度の高さに評価が集まった模様。

佐藤究『テスカトリポカ』直木賞・山本周五郎賞W受賞のクライムノベル

佐藤究さんの長編小説『テスカトリポカ』。直木三十五賞・山本周五郎賞W受賞作。これは17年ぶり史上2度目の快挙である。壮大な物語を完成させるために、相当の資料を読み込み、言葉で描写することに妥協しなかったことが窺える。

東野圭吾さんの『あの頃の誰か』わけあり物件を集めた短編集!?

東野圭吾さんの短編集『あの頃の誰か』には、シリーズものでない8編が収められている。本書は、当初から文庫判として発売された。東野圭吾さんによれば、「わけあり物件」が収録されているとのことである。

橋本陽介『物語論 基礎と応用』形式を重視する研究による作品の解明

文学研究には、「何が書かれているのか」という内容を重視する方法と、「どのように書かれているのか」という形式を重視する方法とがある。

文章術の本についての案内書がAmazonで売れていたので私も購入した

藤吉豊さんと小川真理子さんの共著『「文章術のベストセラー100冊」の ポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)。Amazonで売れています。文章術の本の案内書としてもおすすめ。

出口治明『哲学と宗教全史』3000年に及ぶ世界の哲学と宗教の歴史を通して読める

出口治明さんの『哲学と宗教全史』は、期待を裏切らないタイトル通りの本でした。哲学者や宗教家は、世界を丸ごと理解しようとした人達です。3000年に及ぶ哲学と宗教の歴史を通して読むと、多くの気づきを得られます。

百田尚樹『日本国紀』日本通史としての読み応えあり

百田尚樹氏の『日本国紀』は、一般向けに書かれた文学的な日本通史。分かりやすくまとめてあり、日本史の全体像を把握できる。専門家の監修もあり、読む価値がある。

村田沙耶香『コンビニ人間』少し怖いがすかっとするユーモア小説

村田沙耶香さんの『コンビニ人間』は、第155回芥川賞受賞作。少し怖いがすかっとするユーモア小説です。男性はグロテスクな部分に注目する方も多いが、女性はすかっとするという方が多いらしい。どちらにしても面白い小説です。

森見登美彦『夜行』夢幻の境をさまよう物語

森見登美彦さんの小説『夜行』。出版元の情報を見ると、怪談と青春とファンタジーの3語がキーワードになっていた。学生時代からの仲間が登場人物であり、京都の宿で皆が奇妙な話を語る。全体的にはファンタジー小説としての印象が強く残る。

桜木紫乃『ホテルローヤル』父親がかつて経営し実在した施設

桜木紫乃さんの連作短編集『ホテルローヤル』。世間の常識から外れていたり、官能的だったりしますが、ほのぼのとした場面も多く、心温まる話もあります。

門井慶喜『銀河鉄道の父』父親でもある気鋭作家が描く父子の情、家族愛

門井慶喜さんの長篇小説『銀河鉄道の父』。宮沢賢治の生涯や家族についての物語が、賢治の父・宮沢政次郎の視線を通して描かれています。家族のぬくもりや父と息子の関係を描いた物語です。

島本理生『ファーストラヴ』普通の初恋ではない、歪められた記憶

島本理生さんの長篇小説『ファーストラヴ』。普通の初恋ではない、歪められた記憶。女性や弱者に対する社会の理不尽さに目を向けさせる小説でした。

村上春樹『カンガルー日和』リリカルな作風の掌編集

村上春樹さんの短編集『カンガルー日和』は1983年9月に平凡社より刊行されました。上梓した短編集の中では2作品目にあたります。掌編小説集としては初の作品集です。

辻村深月『鍵のない夢を見る』町の事件をテーマにした5篇、結論を読者に委ねる

辻村深月さんの短篇集『鍵のない夢を見る』。 町の事件を扱う5篇が収録されています。結論を出してしまわずに、読者に委ねる書き方を意識したとのこと。第147回直木賞受賞作です。

西條奈加『心淋し川』様々な事情を抱え、江戸の一角にある古びた長屋に住む人々

西條奈加さんの短編集『心淋し川』。時代小説の連作短編集であり、全六編が収められています。描かれているのは、様々な事情を抱え、江戸の一角にある古びた長屋に住む人々のこと。

ケン・リュウ 『紙の動物園』知性と叙情の作家と評される中国系アメリカ人

中国系アメリカ人、ケン・リュウ氏の短篇小説「紙の動物園」「もののあはれ」「円弧(アーク)」などについて。「紙の動物園」は、2012年度のヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞の各短篇部門を受賞。「円弧」は、日本で映画化された作品。

村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』1983年刊行の初の短編集

短編集『中国行きのスロウ・ボート』は、村上春樹さんの初めての短編集として、1983年5月に中央公論社(現・中央公論新社)より刊行されました。本書には、表題作の「中国行きのスロウ・ボート」のほか、雑誌に発表された年代順に、7編が収められています。

村上春樹『女のいない男たち』タイトルどおりのモチーフの短編集

村上春樹さんの『女のいない男たち』は、2014年に文藝春秋から刊行された短編集です。この場合の「いない」は、「去られたり、失ったりして、いない」という意味合いで使われています。あるいは、去られようとしている男たちです。

収録語が多めの小型国語辞典、『集英社国語辞典』と『新選国語辞典』

収録語が多めの小型国語辞典、『集英社国語辞典』(集英社)と『新選国語辞典』(小学館)。両者を比較しながら、特徴を簡単に解説。

かたい(堅・固・硬)とやわらかい(柔・軟)、食べ物での書き分け

かたい(堅・固・硬)とやわらかい(柔・軟)、食べ物での書き分け。和語の形容詞に関しては、どの漢字表記が正しいのか、はっきりしない場合も多い。平仮名書きでよいときもあるが、漢字表記にしたいときもある。掘り下げて調べてみた。

『ベネッセ表現読解国語辞典』わかりやすさを追求した国語辞典、対象は高校生

『ベネッセ表現読解国語辞典』わかりやすさを追求した国語辞典。他の国語辞典とは異なる特徴があるので、簡単にではあるがご紹介したい。

中村明『日本語 語感の辞典』丁寧な解説や実例、類語辞典も兼ねる機能などが魅力

中村明『日本語 語感の辞典』丁寧な解説や実例、類語辞典も兼ねる機能などが魅力。言葉を表現する際は、さまざまなレベルでの選択が積み重ねられる。

日本語における「助詞・助動詞・動詞・形容詞・副詞」の役割

日本語における「助詞・助動詞・動詞・形容詞・副詞」の役割。森田良行氏の『助詞・助動詞の辞典』と『動詞・形容詞・副詞の事典』は、日本語について深く学ぶことのできる書籍である。

村上春樹『職業としての小説家』35年間の作家生活について語った自伝的エッセイ

村上春樹『職業としての小説家』35年間の作家生活について語った自伝的エッセイ。出版社からの依頼で書き始めた文章ではない。少しずつ断片的に、テーマ別に書きためていたそうだ。

横山秀夫『陰の季節』D県警シリーズの第1弾、松本清張賞受賞の表題作を含む4編を所収

横山秀夫さんの『陰の季節』。D県警シリーズの第1弾。松本清張賞受賞の表題作を含む4編を所収。本書では、主に警察の管理部門に属する人々の葛藤が描かれています。

神護かずみ『ノワールをまとう女』裏稼業が生業のヒロインによるハードボイルド的なミステリー小説

神護かずみさんの『ノワールをまとう女』。裏稼業が生業のヒロインによるハードボイルド的なミステリー小説です。

小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』

小川さやかさんの『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』。第8回河合隼雄学芸賞および第51回大宅壮一ノンフィクション賞の受賞作。小川さやかさんは、1978年生まれの文化人類学者で、専門はアフリカ研究。

三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』女性作家による男性的な男の友情物語

三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒』。第135回直木賞受賞作。女性作家による男性的な男の友情物語。

東野圭吾『祈りの幕が下りる時』複雑に絡み合ういくつもの謎は加賀恭一郎の母にも繋がっていた

東野圭吾さんの『祈りの幕が下りる時』。複雑に絡み合ういくつもの謎は、加賀恭一郎の母にも繋がっていた。

誉田哲也『ノーマンズランド』長かった20年という歳月、願いが叶わぬことを知ったとき

誉田哲也さんの『ノーマンズランド』。長かった20年という歳月、願いが叶わぬことを知ったとき。